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ゼミ紹介 seminar
「ふれあい大学課程」修了生をゲストスピーカーとして講演会が開催されました
−障がいの有無に関わらず、仕事をすることに誇りをもって−
7月1日(火)3講時の「社会福祉学特殊講義III(ふれあい大学課程)」の授業において、
第一期修了生の
加藤さんは、2002年、「ふれあい大学課程」の一期生として入学、4年間学んだ後、専門学校での4ヶ月の講習を経て「ホームヘルパー3級」の資格を取得された。現在、「日本いのちの花協会」に就職して、ターミナルケア「北白川花の家本館」のスタッフとして勤務されている。「花の家」は、1992年の開設以来、認知症のある方や自力で動けない方、ターミナルケア期のケアを専門に、24時間365日体制で利用者をサポートしている専門看護介護付き終身ホームだ。ここで、加藤さんは、植栽や自家栽培野菜の水やりから洗濯、ベッドメーキング等を担当している。

「今まで仕事を辞めたいと思ったことはありますか。」という学生からの問いに、 「一度もないです。働くこと、働けることに感謝の気持ちがあるからですよ」という加藤さん。
「(働いて)実際に学んだ事は、時間にゆとりをもって、出勤出来るようにという事です。心にゆとりがあると仕事の段取りも出来るし、利用者の方に転倒事故をさせないから」自分にゆとりをもつこと、それが相手のためでもあり、それによって仕事がうまく運び、自分自身の成長にもつながることを加藤さんは学んだ。
また、仕事だけでなく、利用者の方からも、日々、大切なことを教わる。「利用者の一人、95歳のTさんはとってもお元気な方で、『親を大切にしいや、親に困らせる事はしないように』と僕に言ってくれました。(親は)僕を産んでくれて、ここまで育ててくれた。だから心から感謝しようって」
ふれあい大学課程修了後にホームヘルパーの資格を取得するなど、明るく前向きな加藤さんだが、就職して順調にいくことばかりだったというわけではない。
「最初は、(自分が)理解できないということが言えず、スタッフにどう伝えたら良いのか、と考えることが多かったんです」分からない事があっても、自分からうまく話すことが出来なくて、どうしていいか途方に暮れたこともあった。そんな加藤さんをかえたのが、「花の家」責任者の一言だった。「分からない事があったら何でも言ってください」このまま仕事を続けていけるかどうか不安に感じていた中、責任者の方の相手を思いやるちょっとした一言が、加藤さんの気持ちを楽にした。「今は、最初にもっていた不安な気持ちは消えて、ここで仕事をすることができて本当に感謝しています」

加藤さんは今、優しくアドバイスしてくれるスタッフとともに、充実した日々を過ごしている。
新卒者、若者の離職率が懸念されるいま、企業や職場全体、社会全体が互いに助け合い、思いやりをもって働くことの必要性を感じさせられる。 受講した学生からは、「話の内容に勇気づけられた。自分も頑張ろうと思った」「加藤さんが自信を持って仕事をされている様子が伝わってきて、かっこいいと思った」などの声が寄せられた。
「人を大切にしなければ、自分も大切にされない。他人の気持ちを良く考え、行動出来る人間になりたい。そして、そういう社会人になりたいです」と笑顔の加藤さん。
龍谷大学短期大学部の「ふれあい大学課程」では、ノーマライゼーションの社会をめざし、様々なプログラムで障がいをもった受講生の学びを学生がサポートしている。しかし、いつも学生が、障がいをもった受講生をサポートするのではなく、今回のように障がいをもった加藤さんの仕事に対する姿勢から、学生が学ぶこともある。このことが、本学がめざす「共生」の精神に繋がると思われる。