- 教員氏名
- 広川 義哲(ひろかわ よしてつ) 准教授
- 所属学科
- こども教育学科
専門分野は教育哲学です。
保育や社会的養護の歴史について関心をもって研究を進めています。近代(日本では明治期)以降の監獄と児童保護の結びつきから、社会福祉事業としての当時の保育・幼児教育の実践をひもといていく作業を進めています。さらに、社会福祉事業や教育の草創期であった明治時代の日本社会に北米やヨーロッパからどのような思想が流入してきたのかも調査しています。社会のかたちや仕組みとそこで暮らす人の願いや思いにしっかりと注目して、人びとの生活のありようを明らかにしたいと考えています。
教育原理・社会学という講義を担当しています。子ども、教育や社会についての理論に親しんでほしいという思いで講義をしています。
自分ならこう考える、ということを大切にしてほしいと思います。自分なりの考え方がほかの人とは違っているかもしれないと思ってしまって、自分の感想、意見やものの見方を抱くことにときにぼくたちは臆病になることがあるのかもしれません。「あ、あの人、そんなこと考えているんだ」とほかの人から思われたらイヤだなと考え、「私はこのように考える」と発言することに臆してしまうこともあるかもしれません。ですが、たぶん、社会はぼくたちが考えているよりもずっと広いのかもしれないのだから、違う視点や立場からの意見や考え方をつき合わせて何かの問題について話し合ってみる、ということに習熟してほしいと思います。
いくつもの物語に触れてほしいと思います。たとえば、本。小説、童話や絵本、短編から長編作品まで、そこには登場人物たちの生きざまが記されています。地下室にひきこもって社会や誰かへの恨みをひたすらにノートに書き連ねる人物(ドストエフスキー『地下室の手記』)、学校の教師が試験の答案に60点や80点と点数をつけることで自分の将来がいかようにも変化してしまう、そんな自分の存在の定まらなさを自問する少年(福永武彦の短編「夜の寂しい顔」)、自分の美しさだけに夢中になって人や動物たちにたいして傲慢に接していた子どもが、優しさの大切さに気づいていく旅の風景(ワイルド『星の子』)、自分の身を食料として供して誰かを助けるヒーロー(やなせたかし『それいけ! アンパンマン』)など。登場人物たちがそれぞれの物語のなかで直面する問題は多様です。何を大切にするのかという価値観も多様です。いくつもの物語に触れて、(人、動物、虫や植物といった)生命への思考を重ねてほしいと思います。